23年世界成長、2.1%に上げ=米欧利上げや信用不安、来年も影響―世銀

世界銀行は6日発表した経済予測の最新版で、2023年の世界の実質GDP(国内総生産)を前年比2.1%増と、1月時点の見通しから0.4ポイント上方修正した。年初の一部主要国の景気が予想よりも強かったことを反映した。ただ、米欧の利上げや米銀破綻を受けた信用不安の影響で回復の足取りは鈍く、24年の世界GDPは2.4%増と、0.3ポイント引き下げられた。

 世銀は、先進国で金融不安が高まり、信用収縮に見舞われれば、24年の世界成長率は1.3%に大きく減速すると予測。世界全体に波及する金融危機に発展すれば、世界経済は一段と落ち込み、0.3%成長にとどまる恐れがあると懸念を示した。

 世銀のギル上級副総裁兼チーフエコノミストは「世界経済は不安定な状況にある」と警告。特に先進国の中央銀行に対し、途上国への悪影響を抑えるため、金融政策見通しの突然の変更を避けるよう訴えた。

 日本の成長率については、23年は0.2ポイント下げて0.8%、24年は変わらずの0.7%と予想。米欧利上げが輸出需要を圧迫すると見込んだ。

 23年の米成長率は0.6ポイント引き上げて1.1%としたが、24年は0.8%と、0.8ポイントの大幅下方修正。連邦準備制度理事会(FRB)の急激な利上げの影響に加え、相次いだ銀行破綻による融資条件厳格化も重荷となる。