長期金利が0.7%に、9年8カ月ぶり高水準-早期金融正常化を警戒

 11日の債券相場は下落し、長期金利は9年8カ月ぶりとなる0.705%に上昇した。日本銀行の植田和男総裁がマイナス金利政策を解除する上で、年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではないと述べたとの一部報道を受け、売り圧力が強まった。

日銀総裁、賃金と物価の好循環のデータが年内にそろう可能性も-報道

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、2024年4月にもマイナス金利政策が解除されると予想し、円安の進展次第で今年10-12月にも政策修正の可能性があるとみていたが、植田総裁の発言を受けて「想定していたより前倒しのがい然性は高いのかもしれない」と指摘した。

新発国債利回り(午後3時時点)

日銀は午前の金融調節で定例の国債買い入れオペで、10年国債を1%の利回りで無制限に買い入れる指し値オペと、債券先物の決済に使われる受渡適格最割安銘柄(チーペスト)対象の同オペを継続した。

午後1時すぎには貸付期間5年の共通担保資金供給オペを通知した。日銀は1月の金融政策決定会合で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の対象外であるスワップ金利の上昇抑制を狙って同オペの拡充を決定した。期間5年のオペは2月以来の通知。これを受けて先物はいったん下げ幅を縮小したが続かず、5年物のスワップ金利は反応しなかった。

日銀、5年物の共通担保資金供給オペを14日実施と通知

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、1月に同オペを通知した際は金利低下効果があったが、12日に5年債入札を控えていることもあり「影響は限定的だった」という。

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